奈良のデザイン事務所|しろくまデザイン

縫製品(服やバッグなど)のデザイン・指示ってどうやるの?

fashion指示書

私たちの身の回りには、たくさんの縫製品(服やバッグなどの服飾小物)があります。
最近は輸入ビジネスの情報も手に入りやすくなり、個人でもオリジナル商品を販売されている方もいらっしゃいます。

しかし、既存商品にただロゴを入れるだけ。という訳ではなく、商品企画から始まりオリジナルの商品を開発するときに
どのようにデザインされ量産されてゆくのか、その工程を知る機会はあまりありませんよね。

そこで、以前釣り市場向けに女性用の紫外線カットパーカーをデザイン(商品開発)した時の流れを例に、
具体的にどういう方法で、デザインを製造工場に伝えて、自分の考えているものを商品化してゆくのかを紹介してみようと思います。

パーカー

商品企画会議

ここは、釣り市場向け商品を作っている某メーカー。
時代は、山ガール・釣りガールなる言葉が出現し、女性のアウトドア活動がメディアで取り上げられはじめた頃。

新商品の企画をスタートする時に、まず自社の商品ラインナップを見直しました。

私:「釣りのスタイルに合う商品はある程度カバーできていますが、女性向けの商品は全くありませんね。
しかし商品の特性上、主に男性がメインターゲットで$@*#’%%~+*=ブツブツ……」

社長:「女性向けの商品を作れ!」

はい、命令が発令されました。

ヤバイ。これは困りました。何を作れば釣り用品店で女性に買っていただけるのでしょうか。
そもそも釣りに行く女性は少ない。そこで、社内や友人知人の女性に聞いてみました。
「釣りには行きますか?」「釣りに行ったときに困る事ってありますか?」

「行きません」なぜですか?「トイレがないから」
「行きません」なぜですか?「日焼けするから」

なるほど!トイレは絶対必要ですが、ちょっと我々には作れません。
日焼けを何とかする物があればそこにニーズはあるはず!
生地屋さんに問い合わせたところ、97%紫外線カットのストレッチ薄手生地があるとの事。これだ!

デザインを考える

さぁ、紫外線カットの服を作ることになりましたが、どんなデザインがいいのでしょう。

釣り用品店・女性・・・

あぁ、思い出してきた。子供の頃行った釣り。。
夏休み、家族や親せきも一緒で、釣り具屋さんで買った餌の虫が怖かった。。

ファミリーだな。日焼けが気になる女性でも釣りに行く場面があるのは。
そして、家族や親せきと釣りに行くときに買うのだったら、デザインはシンプルなのが買いやすい。
イメージはユニクロ・無印だ!

デザインを描き、試作品を作る

商品が現実の物となるためには、デザインを描いてそれを基に試作品を作ってみる必要があります。
縫製工場の方が見て分かるように指示書を作ります。

指示書の書き方はデザイナーや会社によって若干の違いはありますが、
基本的には
デザイン/図面・寸法・使用する生地・ファスナー・パーツの種類等を記載します。

ポイントは、客観的に見て「誰が見ても分かるように」です。

パターンまで作られるデザイナーの方もいらっしゃいますが、
私はパターンについては専門ではないので縫製工場にいるパタンナーさんにお任せしました。

[全体のデザイン指示書]

1枚目の指示書はこのような感じで、デザインの全体像を記載します。
ここでは、各部分のサイズやデザインの特徴となる部分の概要をまとめています。

この製品は、裾・袖口・フードがアジャスターで絞れて、レインウエアのディティールを備えてるところがポイントです。
雨を防ぐのではなく日差しを防ぐウエアというイメージです。
さぁ、ここからシルクスクリーンプリントやサイズラベル・下げ札等の指示、サンプルの品質検証などの詳細を詰めてゆきましょう。

[シルクスクリーンプリントの版下]

手首のフラップや胸部分にロゴマークをシルクスクリーンプリントするために、版下と呼ばれる原寸サイズのロゴデータを作成します。
色の指定は、pantone・CMYKの値・DICカラーなどで指定します。工場で使っている色見本が何かを聞いておくと共通の認識としやすいです。

[サイズやブランドロゴの入った織ネーム版下]

首もとのブランドネームや洗濯標示の版下と取付位置を指定します。

これらのデータと参考商品を縫製工場に送り、サンプル(試作品)を作っていただきます。
※参考商品は指示書だけでは伝わりにくい部分、
例えは参考商品と同じパーツを探してほしい・参考商品のようなサイズ感にしてほしい・生地まで探してもらう場合は参考商品のような質感の生地が希望・また、生地の切断面の処理など、指示書だけでは伝わりにくいことを伝えるのに非常に役に立ちます。

※中国・ベトナム等、海外に工場がある場合は、指示書を英語で書く場合もあります。
そんな時は、「ファッション・アパレル用語の対訳辞書」があると便利です。
実際に工場に行ってサンプル制作の細かい指示や相談をする場合にも役に立ちます。

試作品(サンプル)の検証と修正

仕様の複雑さや繁忙期かどうかにもよって異なりますが、数週間でサンプルが送られてきます。
(ここで製造にかかるコストも確認します。)
それを、開発会議などで営業さんや他部署の方も交えて検証します。

「手の甲が焼けそう。」という意見が出ました。なるほど!確かに。
袖を少し長くして、袖口から親指を出せるように修正です。

修正箇所を「修正指示書」にまとめて、再度サンプル作成を依頼します。

[修正部分を記載した指示書]

品質に関する部署がある場合は、品質検査に関わっていただき、検証します。
[品質に問題がある部分]

パッケージ・梱包仕様を決める

製品の仕様と並行してパッケージをデザインします。
店頭で商品をアピールするための下げ札やJANシールをデザインし、印刷に使用する版下データを作ります。

縫製工場が下げ札の印刷を手配してくれる場合は、縫製工場へデータを送ります。
こちらで手配が必要な場合は、印刷工場へ印刷を依頼します。
ここは、チラシやステッカーの印刷と同じ要領ですね。
そして、出荷時の梱包方法も指示します。

[下げ札のデザイン]

[JANシールの版下]

[梱包方法]

詳細はここでは省きますが、畳み方や、
箱のサイズはどんなサイズで、何着入りというところまで指定する場合もあります。

仕様決定!

修正サンプルもOK、下げ札のデザイン・仕様もOK。梱包仕様もOKとなったら、
全てにかかるコストを確認し、必要であれば仕様変更・販売価格や利益率の調整を行い、仕様決定となります。

そして、工場へ発注して量産していただきます。
縫製工場

まとめ

今回はパーカーを例にご説明しましたが、
ほとんどの縫製品はこのような流れでデザインや仕様が決まっています。

実際の商品開発では、1発で仕様決定できる事は本当に稀です。
最初の仕様ではコストが合わなかったり、求めている素材が無かったり。
作ってみたけど商品としての魅力がない。中止。なんてことも起こります。

それでも、仕様をシンプルにしたり、素材を変えたり、商品企画自体を見直したり。
根気よく柔軟に進めてゆく臨機応変さも必要になってきます。

オリジナルの商品を作りたいけど、
・経験のあるデザイナーがいない
・指示書の作り方が分からない
・どのように工場に依頼すればよいのか分からない
などのお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。

●製造工場を探している方は、こちらの記事もどうぞ
オリジナル商品・製造工場(OEM先)を探してみよう!

おまけ

イラストACさん(無料素材のWebサイト)に、
私が指示書で実際に使っているこのようなファスナーのブラシ(Adobe illustrator用)を掲載しました。
イラストレーターのブラシ機能で、線を引くだけでファスナーになりますよ。
良かったら使ってみてください。

ファスナーのブラシ


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