デザインのテーマとコンセプトの違いについて | デザイン事務所 しろくまデザイン | 奈良

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デザインのテーマとコンセプトの違いについて。

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みなさんも普段の生活のどこかで、「テーマ」と「コンセプト」という言葉を聞いたことがあると思います。

・テーマパーク
・テーマソング
・コンセプトカー
・ブランドコンセプト

なにやら物事の重要な部分だという事は分かるのですが、
はっきりと違いを説明しようと思うと言葉に詰まってしまいませんか?

デザインの仕事でもこの2つの言葉はよく出てきますが、混同されがちです。
今日は、この2つの言葉の違いについて説明してみようと思います。

ややこしい部分は、とりあえず読み進めてみてくださいね。

テーマとは

テーマパーク

まず、テーマとは何でしょうか。
答えは、「お題・主題」です。物事を考えるうえで出発点になる部分とも言えます。

テーマパークを例に考えてみましょう。

・ディズニーランドは
ディズニーの世界」がテーマの遊園地です。

・ユニバーサルスタジオは
ユニバーサル・ピクチャーズの世界」がテーマの遊園地です。

身近なモノを例に考えてみましょう。

・電話という製品は
音声通信ができるもの」がテーマです。

・扇風機という製品は
風を送るもの」がテーマです。

コンセプトとは

映画の世界

では、コンセプトとは何でしょう。
コンセプトとは
「テーマへの回答・提案・解決方法」です。

先程のテーマパークを例に考えてみましょう。

・ディズニーの世界【テーマ】を実現するために
スターウォーズを体験する」をコンセプトにつくられたアトラクション(乗り物)が “スターツアーズ” です。

・ユニバーサル・ピクチャーズの世界【テーマ】を実現するために
ジュラシックパークを体験する」をコンセプトにつくられたアトラクションが “ジュラシック・パーク・ザ・ライド” です。

テーマを実現させるために
どのアトラクションにも「コンセプト」があります。

※ディズニーランドに、デパートの屋上などにあった100円のパンダの乗り物を置いてしまうと、コンセプトは何なの?と怒られてしまうでしょう。

先程の身近なモノを例に考えてみましょう。

・電話という製品のテーマは「音声通信ができるもの」です。
⇒ 携帯電話は「携帯できる、電話」がコンセプトです。

・扇風機というの製品のテーマは「風を送るもの」です。
⇒ ダイソンの扇風機は「羽のない、扇風機」がコンセプトです。

コンセプトはテーマの修飾語のような存在

コンセプトとテーマを組み合わる事で、よりイメージが具体的になります。例えば…
□ (コンセプト + テーマ)
■ 自然素材の + 家
■ オール電化の + 家

少し話がややこしくなるかもしれませんが、
技術の発達や、趣味嗜好の細分化によって、これまでコンセプトであった事がテーマになり、
より掘り下げたコンセプトを提案するという事もよくあります。

□ (コンセプト + テーマ)
■ 吉野杉を使った + 自然素材の家
■ 漆喰を使った + 自然素材の家
■ 太陽光発電による + オール電化の家
■ バッテリーシステムを備えた + オール電化の家

コンセプトはテーマを修飾する・補完する存在とも言えます。

テーマは1つ・コンセプトは無限

テーマとコンセプトの図
つまり、何かの課題があって、それをお題にしたものがテーマです。
基本的にテーマは1つです。そのテーマを解決する方法として、複数のコンセプトが生まれます。

近年、電気自動車の開発が進んでいますが、「電気で車を動かしたい」というニーズ・課題があるからです。
それがテーマになります。

そして、「電気で動く車」というテーマの元、世界中の自動車メーカーが、
小型・トラック・スポーツカー・ライドシェアリング・自動運転・4輪独立駆動
などのコンセプトを発表しています。
それが「コンセプトカー」です。

テーマは一つですが、コンセプトは考える人の数だけ存在すると言っても良いでしょう。

コンセプトカー

ファッションにおけるブランドコンセプト

fashion

ファッションにおけるブランドコンセプトを説明するには、少し発想を変えて考える必要がありそうです。

ファッション業界では、「ブランドコンセプト」こそがブランドの軸となっていて、
毎年ブランドコンセプトに沿ったコレクションテーマが発表されるというのが一般的です。

では、そもそも辞書では「テーマ」と「コンセプト」についてどう説明されているのでしょうか。

ウィキペディアによると、
テーマ:主題
コンセプト:概念
とあります。

ブランドコンセプト
それはつまりブランドの概念

シャネルのブランドコンセプトは「女による女のためのモード」だそうです。
モードはフランス語で流行やファッションを表します。
2018年春夏コレクションのテーマは、永遠の都・ナポリだそうです。

ナポリを舞台に、そこに登場する女性たちの服を表現しているんですね。
聞いただけでなんだか世界観を感じますよね。

そこに登場する女性たちの服 = 女による女のためのモード というコンセプトは基本的には変わりません。
シャネルというブランドが続く限り、ただテーマ(舞台)が時代と共に変わってゆきます。

[パリのグランパレで行われるショーは圧巻のスケールです↓毎回のテーマが違う事がよく分かります。]

ブランドコンセプトは1つ、テーマは無限

ファッションブランドコンセプト
ファッションにおいては、コンセプトは1つです。
舞台としてのテーマは無限です。

例えば、「49ers」という架空のブランドがあるとして、
「開拓者精神を持つ人の服」がブランドコンセプト。
今年のコレクションテーマは「カルフォルニアのゴールドラッシュ」
来年のテーマは「未知の惑星へ」などでもよさそうです。
いつの時代・どんな場所でも
開拓者精神を持つ人が着ている服をイメージしてデザインすることが
このブランドの軸となります。
【ちなみに、49ers(フォーティナイナーズ)とは1849年にカリフォルニア・ゴールドラッシュに金を求めて集まった人々の事です。】

まとめ

何かを考える根本・きっかけとなるところにテーマはあります。
もっと速く、もっと遠くに、もっと便利に… と願った人類は、
テーマをコンセプトで補完してゆく事で発展してきたと言えるのかもしれません。

そしてファッションにおいては、全てに共通する事象や一貫した思想がブランドコンセプトであり、
そこに様々なテーマを与えて、その共通する点を表現する。
与えるテーマによって目に見えるカタチは変わっても、そこには共通の概念が込められています。

なかなかじっくり考えないと違いを見出すのが難しいですが、
デザインにおいて、テーマとコンセプトには切っても切れない関係性がありますね。

【 テーマを変えたUSJ 】

USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)はマーケターの森岡毅氏により
ユニバーサル・ピクチャーズ(映画)のテーマパーク」から
世界最高のエンターテイメントを集めたテーマパーク
へとテーマが変わりました。
テーマをエンターテイメントに変えたことで、
映画を含めたあらゆるエンターテイメントを楽しめるテーマパークになり
子供やファミリー層・アニメファンなども巻き込んで劇的に集客を増やしました。


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