奈良県主催デザインキャンプ奥大和2022に参加しました|大橋茶屋チーム
アジア各国で活躍するデザイナーと、奈良のデザイナーがチームとなり、
奥大和の事業者のもとに滞在し共同生活を送り、事業や地域における課題を見つけ、
未来につなげるデザインを制作・提案する奈良県主催のプログラム
「デザインキャンプ奥大和 2022」に参加しました。
前半の約1週間で事業を体験し、次の1週間でアイデアをまとめて発表するという短期集中のプロジェクトです。
しろくまデザイン松村は、奈良県吉野郡天川村洞川にある「大橋茶屋」さんのチームとして、
シンガポールのデザイン会社「Section」のLi Jingさん・Xiu Meiさん、
通訳+コーディネーターの福井晴浦さんと共にデザインに取り組みました。
(シンガポールのお二人はコロナの影響により来日はせず、毎日オンラインでのコミュニケーションとなりました。)
背景・状況
大橋茶屋は、修験道の聖地「大峯山」の麓にあり、行者さんの憩いの場として利用されてきました。
最盛期には毎日何十台もの観光バスで、大峯山登山者や行者が訪れていたそうです。
茶屋は洞川財産区が所有しており、3年に1度入札により経営権を得ることになっており、
現在の経営者が、今回のデザインキャンプ2022 大橋茶屋チームのクライアント 小屋さんです。
小屋さんの本業は洞川で代々続く大工さんなのですが、子供のころから父と共に大峯山に登り、行者さんたちとの交流が身近なものでした。
大橋茶屋の経営権を得ようと思ったきっかけは、「行者の高齢化、大峯山登山者の減少に伴い、大峯山・修験道の文化が途絶えてしまうのではないか。何かしなければ。」という想いからでした。
デザインキャンプに参加されたきっかけ、目指している姿を伺ったところ、
・一人でも、若い人も大峯山に登る人を増やしたい。
・大峯山をもっと世界の人にも知ってほしい。
・海外の旅行ガイドブックLonely Planetにも大峯山の事が掲載されるようになってほしい。
との事でした。
問題
・大峯山登山者の減少やコロナの影響で、大橋茶屋の売り上げは減っており利益はほぼない。小屋さん個人が運営している事と、大橋茶屋の所有者は洞川財産区であることから、設備やホームページ等の初期費用のかかる投資は難しい。
・最終目的は大峯山登山者(行者)を増やす事ではあるが、まず大橋茶屋への集客を考えなければ、この土台が失われてしまう可能性がある。
・大峯山は女人禁制の山として知られており、集客をするにあたり男性のみをターゲットとするのか、女性を含めて集客を考えるのか。(※大橋茶屋は女人結界門の手前にあるため女性も利用できます)
現地での体験
現地滞在中に実際に大峯山に登り、話し、人はなぜここを訪れるのか。
大峯山を歩く理由や魅力は何なのかを聞き、体験しました。
小屋さんは、「息子や未来の為」に歩いている。
大橋茶屋で出会った行者さんは「生まれ育った地域の平和を祈って毎年歩いている。」と言っていた。
これは愛だ。
多くの方は「誰かの為」に「祈りの為」に歩いている。私も気づけば「誰かの為」に歩いている。
また、大橋茶屋のある天川村には、デザイナー・ヨガ講師・ゲストハウス経営などをされている、才能・個性溢れる移住者の方が多く居ます。
小屋さんは彼らと仲が良く、移住における様々な面倒も見てあげていました。
私たちも滞在中に彼らと交流する機会が多々ありました。
そこには小屋さんを中心とした人のつながり・コミュニティがあることが分かりました。
デザインはモノ(物体の形状をつくる事)だけではありません。
みんなの力で大橋茶屋が人の集まる場所にできるかもしれない!
提案
私たちのプランは、
1.まず大橋茶屋に人を集める
2.大峯山の事を知ってもらう
3.大峯山に登る人が増える
このステップを踏むことで、目標を達成するアイデアです。
お待たせいたしました!
大橋茶屋チームの楽しくポップなプレゼンテーションをご覧ください。
↓
まとめ
大橋茶屋に集う人が増え、その中から大峯山に登る人が現れてくれたら幸いです。
それぞれが大橋茶屋や大峯山での瞬間をシェアし、1300年の歴史の一部になる。
短期間のプロジェクトでしたが、
現地に滞在して共同生活を送り、チームみんなの理解を深めて考えたアイデアには、クライアント「らしさ」が凝縮されていると思います。
今後もこのデザイン提案を元に、オリジナルタオルを作って販売し、売り上げを運営や修験道の保全活動に使うなど、できる事を検討しています。
皆さんもぜひ大橋茶屋を訪れて、
#いつ来てもええすよ
#WhatAreYouWaitingFor
のタグとともにSNSであなたの瞬間をシェアしてください。
そして、大峯山の未来の歴史の一部になりましょう。
小屋さん、アンディ、チームのみんな、矢部さん、デザインキャンプ奥大和関係者の皆様、この度は貴重な経験をありがとうございました。